高血圧症

高血圧症とは

血圧が高い病気のことです。 血圧は心臓から送り出される血液量と、それを流す血管の血液のとおりづらさとで決まります。
心臓が一生懸命に働いて血液が大量に心臓から送り出される場合や、血管が細くなって血液がとおりづらくなったような状態で血圧が上がることになります。 当クリニックでは血圧脈波検診によりわずかな時間で血管の状態がわかります。

高血圧の原因

高血圧の原因として挙げられるものには下記のようのものがあります。原因や症状によって高血圧もいくつかの種類に分類されます。

  • 塩分の取りすぎ
  • 肥満
  • 運動不足
  • 過労
  • ストレス
  • 加齢による血管の老化
  • 飲酒
  • 喫煙
本態性高血圧

特にこれといった原因が見当たらないものをいいます。これは親から子へ伝わる遺伝的な因子とストレス、食事といった環境的な因子によってもたらされると考えられています。

二次性高血圧

原因となる病気があり、その一症状として血圧が上がります。

  • 腎実質性高血圧(糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、多発性嚢胞腎など)
  • 腎血管性高血圧
  • 甲状腺機能亢進症
  • 原発性アルドステロン症
  • 甲状腺機能低下症
  • 褐色細胞腫
  • 妊娠高血圧
白衣高血圧

健康診断や病院の診察時に通常より血圧が高くなる人がいます。 白衣を着たお医者さんや看護師に測ってもらった時に高くなるので、白衣高血圧呼ばれます。こういった状態は、自律神経のなかの交感神経が非常に活発に働いている状態なのです。

早期高血圧

病院での血圧が正常なのに、起床後の早朝血圧が高い状態(135/85mmHg)以上を『早朝高血圧』と呼びます。

仮面高血圧

病院での血圧は正常なのに家庭で測る血圧が高い場合を仮面高血圧と呼びます

高血圧の症状

高血圧症には特殊な自覚症状は明確にはありません。

ただし一般的な症状がみられることはしばしばあり、頭痛、頭重、肩こりといった症状がありますが、この症状は高血圧症につきものというわけはありません。 治療としては血圧を正常値内にコントロールしていくことが必要となります。必要な場合はホルター式自動連続血圧計で24時間の血圧の変動が把握可能です。

血圧コントロールの目安(単位:mmHg)
診察室血圧家庭血圧
一般的な目安130 / 85 未満125 / 80 未満
高齢者140 / 90 未満135 / 85 未満
糖尿病患者130 / 80 未満125 / 75 未満
高血圧合併症

高血圧は初期には自覚症状が現れない病気です。 まず血圧が高くなると血管に常に強い圧力がかかり、血管の壁が厚く硬くなる動脈硬化になります。また、動脈硬化があると、血管に弾力を失い、血圧はさらに高くなり悪循環を起こします。そして脳の血管が障害されると脳出血、脳梗塞になります。心臓の血管が障害されると狭心症や心筋梗塞になります。自覚症状がないといって放っておけば、生命にかかわる様々な合併症を引き起こします。

高血圧の治療法

高血圧の治療は投薬だけではなく生活習慣の改善も必要です。

第一治療

食事などの生活改善が第一治療の基本となります

  • 塩分を控える
  • 栄養バランスを守る
  • アルコール控える
  • 適度な運動を行う
  • 体重を減らす
  • タバコをやめる
  • ストレスを減らす
第二治療

薬物療法 -主な降圧剤には次のものがあります。-

  • Ca拮抗薬……血管を広げて血圧を下げます。
  • β遮断薬……心臓のポンプ作用を穏やかにして血圧を下げます。
  • 利尿薬……塩分や水分を尿に出して血圧を下げます。
  • ACE阻害薬……血圧を上げる物質(アンジオテンシンⅡ)を作らないようにして 血圧を下げます。
  • ARB……アンジオテンシンⅡの作用を抑えて血圧を下げます。

糖尿病

糖尿病とは

糖尿病とは血液中の血糖値が高くなる病気です。食べ物や飲み物は消化されると、身体を動かすエネルギー源のブドウ糖にかわります。血糖値とは、このブドウ糖が血液の中にどれぐらいあるかを示すものです。 糖尿病になると、ブドウ糖がそれを必要とする細胞まで運ばれず血液中にあふれてしまい血糖値の高い状態が続きます。

糖尿病の種類

一言で糖尿病といってもいくつかの種類があります。

一型糖尿病

すい臓のβ細胞というインスリンをつくる細胞が破壊され、体のなかのインスリンの量が足りなくなっておこります。インスリンを体外補給しないと生命に関わるためインスリン注射を欠かしてはいけなくなります。 子供や若い人、痩せ形に多いとされています。

二型糖尿病

生まれつきインスリン量が少ないなどの遺伝要因に、運動不足、食事の取りすぎなどの環境要因が加わりインスリンの働きが悪くなります。 日本人の糖尿病患者さんの95%以上が二型糖尿病です。

遺伝子異常やほかの病気が原因となるもの

遺伝子異常や肝臓、すい臓の病気、感染症、免疫異常など、他の病気が原因となっておこります。薬剤が原因の場合もあります。

妊娠糖尿病

妊娠によっておこります。新生児に合併症がおこることもあります。

糖尿病の症状

糖尿病の症状として下記のものがあります。思い当たる症状がありましたら受診をお勧めします。

  • 口渇
  • 多飲
  • 多尿
  • 多食
  • 体重減少
  • 体力減少など
糖尿病と診断する検査値

検査の結果が下記のようであれば糖尿病と診断されます。

  • 随時血糖値が200mg/dl以上
  • 空腹時血糖値が126mg/dl以上
  • 75gブドウ糖負荷試験2時間値が200mg/dl以上
  • HbA1cが6.5%以上
アリーアAfinionアナライザー

アリーアAfinionアナライザーは糖尿病治療に重要な血糖値のコントロールにおいて、血液中のHbA1cの測定システムと通じて、 適切な診断情報を提供します。

糖尿病三大合併症

糖尿病を放置していると、さまざまな病気を引き起こし(合併症)、さらに危険な状態になることがあります。糖尿病の場合は代表的な3つの合併症があります。

糖尿病性腎症

ほとんどの場合、糖尿病と診断され腎症に特有の症状はありませんが、高タンパク尿が高度になり、むくみがでてきます。進行すると腎機能低下が進み悪化、透析療法が必要になります。

糖尿病性網膜症

血糖コントロールの悪い状態が続くと網膜の血管が傷害され出血、血管が詰まったりします。網膜の酸素や養分不足となり、ひどくなると硝子体出血や網膜剥離をおこし失明に至ります。

糖尿病性神経障害

足先のしびれ、痛みがあらわれ、ひどくなると歩行障害になることがあります。

血糖コントロール目標値

糖尿病治療はまず血糖値を正常値内にコントロールすることが必要になります。

目標血糖正常化を目指す際の目標合併症予防のための目標治療強化が困難な際の目標
HbA1c(%)6.0 未満7.0 未満8.0 未満
こんな人が糖尿病になりやすい

糖尿病の原因として挙げられるものに下記のようなものがあります。

  • 加齢
  • 肥満
  • 過食
  • 運動不足
  • ストレス
  • 遺伝的要素
糖尿病の主な検査

糖尿病の検査として一般的には尿検査と血液検査があります。

尿検査

尿検査は、尿にタンパクなどがでているかを調べる簡単な検査です。

血液検査

検査で測定する血糖値の種類は次のものがあります。

  • HbA1c

過去1~2ヶ月平均的な血糖のコントロール状態をみます。

  • 空腹時血糖値

決められた時間絶食した後の空腹時血糖値をみます。

  • 随時血糖値

食事時間に関係なく測定する血糖値をみます。

  • 75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)

75gのブドウ糖を飲んで30分、1時間、2時間後の血糖値をみます。

食事療法

適正なエネルギー量をとり、様々な食品から栄養バランスのよい食事するなど規則正しい食事習慣が大切です。

  • 1日3食決まった時刻に食事する
  • 量を守る
  • 栄養バランスを守る
運動療法

ウォーキング、筋力トレーニング、ストレッチが健康維持に効果的です。

ウォーキング・・・全身の筋肉を動かす運動なので脂肪の燃焼で体脂肪が減ります。

筋力トレーニング・・・筋肉を強くすることで基礎代謝が上がり脂肪が溜まりにくい身体になります。

ストレッチ・・・筋肉の柔軟性が高まり血行もよくなるので筋肉や血管の健康を保つことができます。

薬物療法

食事療法と運動療法をおこなっても血糖値が目標に届かない場合、薬による治療を開始します。飲み薬と注射薬があり患者の状態にあわせて処方します。

血糖自己測定

血糖自己測定は、注射(インスリンやGLP-1受容体作動薬)による治療を行っている場合に測定します。 日常生活で血糖コントロールがきちんとできているかチェックしたり、インスリンの量を決定する際に用います。 必ず医師の指示に従って行いましょう。

高脂血症

高脂血症とは

高脂血症とは血液中の脂質であるコレステロールや中性脂肪が増加し、正常値をこえた状態をいいます。

  • LDLコレステロール(悪玉コレステロール) 増加→高コレステロール血症
  • HDLコレステロール(善玉コレステロール) 低下→低HDLコレステロール血症
  • 中性脂肪(TG:トリグリセライド) 増加→高トリグリセライド血症

血液中のLDLコレステロールが増えると動脈の壁にたまり、厚く硬くなる動脈硬化をきたします。 HDLコレステロールは、細胞内や動脈内にある不要なコレステロールを拾い集めて肝臓に戻す役割をしますが少ないのも同様な問題となります。 中性脂肪の増加は動脈硬化に直接つながるものではありませんが、HDLコレステロールを減らす作用があるため中性脂肪の増加でHDLコレステロールが減少、LDLコレステロールは増えやすくなるので間接的に動脈硬化の原因につながります。

高脂血症の原因

高脂血症の原因は、遺伝や生活習慣に関連した原因が影響し発症していきます。 生活習慣の原因として、過食、偏った栄養バランスの食事、運動不足、肥満があげられます。その他ストレス、アルコール、喫煙習慣などがあります。

診断基準
血液検査(空腹時)
LDL コレステロール140 mg/dl 以上
HDL コレステロール40 mg/dl 未満
中性脂肪(TG)150 mg/dl 以上
高脂血症の症状

糖尿病、高血圧と同様、生活習慣の中でも自覚症状がなく定期的な健康診断でわかることがほとんどです。 自覚症状がでた時には全身の動脈硬化が進み、突然脳梗塞、狭心症、心筋梗塞などを引きおこすため、とても怖い病気です。

合併症

合併症には次のような疾患があげられます。 知らないうちに進行する病気なので日頃から予防、治療が必要です。

脳卒中
  • 脳梗塞……動脈硬化が脳におこり動脈が詰まることでおこります。
  • 脳出血……もろくなった動脈が破裂して出血することでおこります。
狭心症
  • 動脈硬化が心臓でおこると動脈が狭くなり血流が悪くなることでおこります。
心筋梗塞
  • 動脈硬化により血の塊りができて動脈がつまってしまうことでおこります。
大動脈瘤
  • 動脈硬化により動脈がコブのように膨らんで破裂することでおこります。
急性すい炎
  • 高濃度のトリグリセライドが分解して生じた大量の遊離脂肪酸による細胞障害でおこります。
食事療法と運動療法

動脈硬化を進めないようにすることが重要な目的で、まず食事や運動を含んだ生活改善を行います。食事と運動で脂質が目標に届かない場合、薬物療法が加わります。次にあげたものを注意することで防ぐこともできます。

  • 適度な運動をする
  • 禁煙をする
  • 栄養バランスのよい食事をとる
  • 適正体重を維持する

頭痛

頭痛には様々な種類があります。

慢性頭痛
  1. 片頭痛:前兆に目がチカチカし始め、ズキズキ脈打つような痛みをともなう。女性に多くみられます。
  2. 緊張型頭痛:筋肉の緊張やコリによりおこります。
  3. 群発頭痛:目の奥の激しい痛みが特徴で多くは男性ですが、ごくまれなタイプです。
危険な頭痛

脳腫瘍、脳出血、くも膜下出血、髄膜炎など

これらは吐き気や嘔吐、激痛を伴うだけではなく命に関わる危険な頭痛となることがあります。頭痛が続く場合、市販の薬で対処や安易に自己判断するのではなく、今一度ご相談ください。

当クリニックではCTやMRIによる精密な検査が行えます。

神経障害

神経障害(神経障害性疼痛)はさまざまな原因によって、神経が過剰に反応をることで起こる痛みです。代表的なものには、坐骨神経痛や頸椎症、帯状疱疹後神経痛、糖尿病神経障害による痛み・しびれなどがあります。40代以上に多く発症します。

当クリニックではレントゲンやMRIや神経伝導検査によって原因を突き止め、適切な治療を行います。

坐骨神経痛

さまざまな原因により腰から足にかけて伸びている坐骨神経が圧迫・刺激されることが原因の痛みやしびれなどの症状
痛み止めとしてまず非ステロイド性消炎鎮痛薬、しびれには神経障害性疼痛治療薬、また筋肉の緊張の緩和のための筋緊張弛緩剤や血流を改善する血管拡張薬などの処方が有効です。また神経をブロックする局所麻酔薬を使用しての神経ブロック療法、運動やマッサージなどで代謝機能や身体機能などの改善を目的に行うリハビリテーションも有効です。

腰痛

腰痛は男性では1番目、女性でも肩こりに次いで2番目に訴えの多い症状で、その数は年々増加傾向にあります。
当クリニックでは診察、X線検査やMRIなどの画像検査を行い、腰痛の原因を取り除く治療を組み合わせますが、治療の基本は保存療法(手術を行わない治療法)になります。

糖尿病性神経障害

原因のはっきりしない神経障害ですが、高血糖の状態が続くと、ソルビトールという障害を起こす原因となる物質が神経細胞に蓄積する結果、神経線維に異常が生じて感覚が鈍くなったり、麻痺が起こるといわれています。また、高血糖によって毛細血管の血流が悪くなるため、神経細胞に必要な酸素や栄養が不足するために起こるという説もあります。糖尿病患者において頻度の高い合併症です。ソルビトールの発生を阻害するアルドース還元酵素阻害薬による薬物療法が有効です。

帯状疱疹後神経痛

帯状疱疹が治癒した後も続く痛みのことで、帯状疱疹の合併症として発生の高い神経痛です。疲れやストレスなどで身体の免疫力が低下したときに発症しやすく、日本人では5~6人に1人がかかるといわれています。

薬物療法には、神経障害性疼痛治療薬、ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液が用いられます。また自費診療として鎮痛補助薬として三環系抗うつ薬、抗てんかん薬を用いる場合もあります。

アレルギー・花粉症

  • アレルギー性皮膚炎
  • じんましん
  • アレルギー性鼻炎
  • 花粉症
  • 喘息、気管支喘息

自分自身でアレルギーの原因が分かっているものを避けるのが第一となります。
当院では血液検査にてアレルゲンの特定を行っております。